〈社名の由来〉

社名の「リンツ」は、オーストリア第3の都市リンツ(LINZ)市に由来しています。
創業前(前職)の2007年、その8年ほど前の1999年から開発を進めてき
世界初の加工技術が、ホンダのミニバン·オデッセイに初めて採用されることに
なりました。

「Aピラー」というフロントガラスの左右両端にある細長いボディ部品ですが、
多くの車が、車体の剛性や衝突安全性を向上させる目的で次第に太くなっていました。
その結果、運転者からの視界が狭くなり、例えば信号待ちの時、一瞬歩行者が
隠れて
しまうような危険な場面も現実に発生していました。

そこでオデッセイは、プレス品よりも剛性と強度の高いパイプ·超ハイテン鋼管の成形品を採用して
細くすることにより、視界を改善しようということになったの
です。

しかし、それには大きな課題がありました。
パイプであるがために他の部品を接合しようとするとスポット溶接のガン(治具)で挟み込むことができず、
他の接合方法を選択するしかありませんでした。
そこで出した結論は、レーザーとミグ溶接を併用し、
片側から接合する「ハイブ
リッドレーザー溶接」でした。理由は、スポット溶接のように挟み込む必要がないため
パイプでも接合できること、溶接時の入熱が比較的低いため熱歪による影響も

何とか対応できそうなこと、多少のスキマがあっても速く、確実に溶着できそうだ、などということでした。

当時、日本でもこの接合方法の開発品がありましたが、量産に向けてはやや不安が残るため
ヨーロッパに目を向けて探しに行きました。
もし満足するものが見つからなければ、オデッセイの開発に重大な影響を与えるまさに崖っぷち
に立たされて日本を発ちました。

向かったのがオーストリアのリンツ市にある中堅設備メーカーF社でしたが、嬉しいことに実際に設備を
開発した技術者の方々に迎えられました。

リンツの街並み

リンツ駅

そこで見たものは、日本で抱えていた不安や疑問を一挙に解決してくれました。
「これだ!求めていたのは」

早朝から夜の遅い時間まで本当に熱く教えてくれました。ひととおり終わってから、
今度は若い技術者が目を輝かせて自分たちが取り組んでいる開発テーマを一生懸命説明してくれたのです。
崖っぷちから転がり落ちそうになった私を救ってくれた運命の会社と、源流で溌剌と活躍する技術者たちに
出会えた幸運を心から感謝し、F社を一生忘れまいと、
オーストリアの思い出の地リンツ(
LINZ)を3年後に創業した社名に使わせて頂きました。

 

〈創業ものがたり〉

2008年春にオデッセイが発売されると、超ハイテン鋼管によって
視界が大きく改善されたAピラーの登場に注目が集まりました。
開発を始めてから9年間「開発費を無駄食いしている!」「いつになったら製品化ができるんだ!」など言われ続け、
幾度も絶望感を
抱きながら苦悩の日々が続いていましたが、それでも「ここで諦めてはすべてが無駄になる。
とにかく真面目に続けていけばいつかは陽の目をみるはずだ」というあまり根拠の無い信念にすがってきたのです。

しかし、発売されたそのときすでにホットプレスという成形加工法がヨーロッパから日本に入り始めた時期でもありました。
ホットプレスは、オデッセイで採用された超ハイテン鋼管の1.5倍も材料の強度が高くなるのです。
苦労して開発をしてきた超ハイテン鋼管のハイドロフォーミングにしがみついていたらやがてヨーロッパの技術にまた勝てなくなる。
そんな危機感と不安が頭の中に現れ、
実は発売前から「次の世代を担う新しいハイドロフォーミング加工法」を開発しようという強い気持ちになっていたのです。

ホットプレスの登場により「次の世代を担う新しいハイドロフォーミング加工法」は
1500メガパスカルまで強度を上げる必要がありました。

しかしそれがどういうものなのか具体的なイメージが掴めなく、しばらくは途方にくれていましたが、
ようやく「通電加熱による鋼管の高圧ガスブロー」に辿り着きました。
これは水圧ではなく空気圧を使うので「ハイドロフォーミング」ではなく「エアーフォーミング」になりました。

オデッセイが発売された2008年に「鋼管の熱間空圧成形と超ハイテン化複合加工法」という構想をまとめましたが、
果たしてこれが一体どういうレベルなのかを知りたくなり、筑波研究学園都市にある公的研究機関を訪ねました。

エレベータに乗って案内された部屋で30分ほどプレゼンテーションをさせて頂いた後、
各分野のエキスパートの方々から意見が出されました。しかしどれも非常に厳しい意見が出され、
ダメージを受けて平常心を失いかけましたが気をとり直し、「私は自動車メーカーの出身ですが、
この技術は決して一つのメーカーだけのために考えたものではありません。

これまで日本の車体加工技術はことごとくヨーロッパから入ってきたものです。日本初の技術をどうしても創りたいのです!」

この熱い想いが伝わったのか、部屋の雰囲気がガラッと変わって、松明に火がともされたような気がしました。
後日、研究機関の方々がわざわざ訪ねてこられ「大変興味あるテーマであり、
ぜひ共同で研究をしたい」と申し入れがあり、それから一年間の共同研究が始まりました。

 

鋼管に大電流を通電して1000近辺まで加熱させる装置や 29.4メガパスカルもの高圧空気をつくりだす装置、
それを一時貯蔵して必要な時に鋼管に送り込む設備、鋼管に送った高圧空気を漏れにくくするシール装置など、
多くの方々の協力を得ながら、装置全体の仕様を決めていきました。

貴重な開発資金をやりくりしてようやく発注が終わり、あとは完成を待つだけになりました。

当時、社内で稼働に余裕があった大型の油圧プレス機に成形金型と通電装置、
軸押し装置などを搭載して、いよいよ加工実験がスタートです。
コンプレッサーのシリンダーが音を立てて高圧空気をつくりだし、
貯蔵タンクの圧力が次第に高くなる。一方、プレス機の下型上に浮いて(絶縁されて)置かれている鋼管の両端はすでに電極で挟まれています。

そこに8千アンペア近い電流を流すと10秒ほどで一気に950近辺まで昇温する。
電流を遮断した後に高圧空気を注入しするとすでに軟らかくなっている鋼管が膨らんで
冷たい金型に接するようになり、複雑な形状に成形されると同時に焼き入れされます。

丸い鋼管を投入してから途中で取り出すことなく、
35秒ほどで1500メガパスカルの超ハイテン鋼管部品が誕生したのです。

実験は無事成功し、新しい道が拓かれそうだと確信しました。さあこれからだ!と再び夢を追いかけようとした丁度その時、
リーマンショックが発生し、開発を続けることが許されない状況になりました。

そして長らくお世話になった前職を離れることになりました。もうサラリーマンは辞めようかとも思ったのですが、
一度は社長をやってみたいと以前から考えていたこともあり、
星運が良い2010年にリンツリサーチエンジニアリング株式会社を設立しました。

社名は、「リンツ」だけだとチョコレートメーカーと間違われそうなので、
「エンジニアリング」を付けようとしましたが、自社で研究開発したものを物づくりまで
つなげていくことを大切にしたいと思い、「リンツリサーチエンジニアリング」という少々長い社名にしました。

〈創業後〉

 鋼管に直接通電して加熱し、柔らかくなった状態で成形する方式は一応成功しました。
しかし、オデッセイのAピラーは、成形したパイプにフランジと呼ばれる
別のプレス部品を溶接(ハイブリッドレーザー溶接)してようやく完成するのですが、
そもそも別物ではなく一体化できないかと更に思いを巡らせました。

そこで生まれた成形加工方案が、
「フランジ付き金属製パイプ製造装置及び製造方法並びにブロー成形金型」(
2012年特許登録)で、
「フランジ付き」が肝(きも)です。

この特許にもとづいて、現在、住友重機械工業(株)殿が「STAF」(Steel Tube Air Forming)として
成形加工設備ラインの商品化を進めておられます。

その後アルミパイプの関連特許が加わるなど、
フランジ付きパイプ成形加工技術が当社の基幹技術の一つになっています。

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